海を脅かす海洋プラスチック問題
1950年頃から本格的に生産されるようになったプラスチック。 軽くて、どんな形にも加工でき、紙のように破れることもないプラスチックは、私たちの生活を便利にさせてきました。
しかしそれと同時に、天然素材のように自然分解されないプラスチックは、地球環境にとっては極めて厄介な存在でもあったのです。
ペットボトル、ビニール袋、外装フィルム、食品トレーなど、私たちが普段手にするプラスチックの多くは使い捨てにされます。
これら使い捨てプラスチックゴミのリサイクル率はたったの14%…。
きちんと処理されるのは一部で、なんと32%のプラスチックゴミは環境中に流出してしまっているのです。
参考:SINGLE-USE PLASTICS A Roadmap for Sustainability
環境中に流出したプラスチックは、河川などを流れて、最終的に行き着く場所は「海」です。
現在すでに1億5000万トンものプラスチックが海を漂っています。
そして毎年800万トン以上の新たなプラスチックゴミが海に流れ出ています。800万トンのプラスチックとは重さにして東京スカイツリーおよそ222基分、ジャンボジェット機5万機分相当です。
犠牲となる野生生物
こうして海に流れ出たプラスチックゴミの犠牲になるのは海の野生生物たちです。 海洋ゴミの影響で傷つけられたり命を落としたりしている生物は約700種にものぼります。
2019年3月フィリピンの海岸に打ち上げられた鯨の胃の中から40キロ分ものポリ袋が出てきたという報告もありました。
マイクロプラスチックとは
一度流出プラスチックは、紫外線や波・風などの影響で壊れて、小さくなっていきます。
こうしたプラスチック破片のうち、5ミリ以下のものは「マイクロプラスチック」と呼ばれ、 世界の海には5兆個(約27万トン)ものマイクロプラスチックが漂っていると推測されています。
いくら小さくなってもプラスチックは自然分解されることはありません。
一度海に流失したら最後。 マイクロプラスチックとして半永久的に海を漂い続けるのです。
マイクロプラスチックを食べてしまう海の生き物たち
そして厄介なのは、魚たちがマイクロプラスチックを餌だと勘違いして食べてしまうことです。
そのマイクロプラスチックを食べた魚を、大きな魚が食べて、その魚をイルカや鯨が食べるという食物連鎖により、マイクロプラスチックは全ての生態系に悪影響を与えていきます。
さらに恐ろしい事に、 プラスチックはもともと石油でできているため、海中を漂う汚染物質を吸着して危険性の高い有害物質となってしまうことがあります。
海にはプラスチックだけではなく、人間が作り出してしまったさまざまな汚染物質も漂っています。 通常、海中にある汚染物質は低濃度なため、そこまで危険視はされていません。
しかしマイクロプラスチックその汚染物質を大量に吸着してしまい、もともとの10万〜100万倍も高濃度な有害物質となることがあるのです。
30年後の海は「プラスチックの海」…
このような多くの問題があるにもかかわらず、プラスチックの生産量は増え続ける一方です。
このままいくとこの先30年以内に、海に漂うプラスチックの量は海にいる魚の量を上回ると言われており、地球の美しい海は「プラスチックの海」に変わり果ててしまうという危機的な状況に人類は直面しているのです。
マイクロプラスチック問題に対する530の取り組み
海洋プラスチックゴミ問題を解決するために大切だ、とよく言われるのが「3R」。
●Reduce(リデュース)・・出すゴミの量を減らすこと
●Reuse(リユース)・・再利用すること
●Recycle(リサイクル)・・再生産に回すこと
私たち530は、それに「1R」をプラスして「4R」が必要だと考えます。
●Remove(リムーブ)・・海に捨ててしまったゴミを回収すること。
これ以上プラスチックが海に流出してしまうことを防ぐのとともに、 すでに海に流れてしまったプラスチックを、人間が責任を持って回収していく。
そうすることで、未来の海を危機から救うことができるのではないでしょうか。
海を汚染し、海の生態系を脅かすマイクロプラスチック問題。
その解決に向けて530では、 『人間や海の生物にとって安心で安全な海を守る』を目標に掲げ、 海に漂うマイクロプラスチックの『回収』を中心とした取り組みを行なっております。